【感想】AIR
「AIR」は2000年にPC版が初登場した恋愛ADVです。
その感動的なシナリオが高く評価され、ゲームのみならずマルチメディアで展開しADVファン以外の人にも広く認識される作品となりました。
ADVのおすすめで調べると必ずと言っていいほど名前が挙がる作品で、ADV入門者の入り口にもなっています。
攻略対象も少ないですし、シナリオを抜きにしてもプレイしやすいゲームですからね。
今回、何年越しかのクリアを成し遂げたので、その勢いで感想を書こうと思います。
このゲームについてはもう語り尽くされているので、全体の解説なんかはせず、僕が気になった所だけをぽつぽつと書いていきます。
そもそも、解説できるほどこのゲームを理解できたとは思えません。
ネタバレ気にせず書くのでお気を付けを。
自分にとってのAIR
ヒロインにイライラするゲーム
僕は、ADVにハマった学生の頃からこのゲームの存在は知っていました。
そしてクリアしようと何度も挑戦しました。
しかし、いつも途中で挫折していたんです。
その理由は明白で、ヒロインの言動にイライラしてしまってプレイを続けるのが苦痛になってしまったからです。
これは「AIR」のみならずkey作品にありがちな特徴なのですが、社会生活を満足に送れなそうな性格・主張を持つヒロインが多いんですよね。
個別ルートを読み進めるとその行動の意味に気が付くのですが、そうでなければ素っ頓狂な奴のままです。
往人や周りに人間に信じられないくらいの器の広さがあったから成り立つ存在。
それが彼女達です。
心が狭いと言われたらそれまでなのですが、keyヒロインの極端化した性格は自分には合わない事が多いです。
本作の攻略対象は3人しかいないにも関わらずそれを強く感じたのは、3人の個性がそれだけ強かったということでしょう。
運命の外にいた晴子が運命に立ち向かう話
往人と観鈴が遥か彼方から受け継いだ運命に絡めとられ、それに抗う様子が描かれる本作。
自分にできる事とやりたい事を見つけ出し、やり切った彼らの雄姿が感動的であるのは間違いありません。
しかし、僕が本作で一番印象に残ったのはやはり晴子でした。
母親を理解しないまま子を持ち、傷つくのを恐れて距離を保ち、それでも母になろうと歩み寄り、そして母になる。
本作で一番大きな一歩を踏み出し、前へ歩き出したのは晴子だと思います。
晴子は、柳也と神奈、裏葉から連綿と受け継がれる宿命とは何の関係もありません。
ゆえに、往人と観鈴に課せられた重い運命を知りませんし実感もできません。
しかしだからこそ、晴子は観鈴に真っすぐ向き合えました。
運命なんて夢物語だと一蹴し、現実的な方法で観鈴を支え続けた晴子。
それは、事情を知っている人からすると滑稽に見える行動かもしれません。
でもその滑稽さが、一人で戦おうとしていた観鈴の心を打ち、共に歩もうと決心させました。
不可思議な現象も、悲しい夢も、物を動かす力も、晴子の母になろうとする想いに超えられたんです。
晴子にとって幸せとは言えない最後になってしまいましたが、彼女が歩む道はどこかに通じていると、僕は信じています。