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【感想】機動戦士ガンダム SEED HDリマスター

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「新しい世代に向けた、新たなスタンダードとなりうるガンダム

 

そんな理念のもと制作されたと読んで、「なるほど」と思いました。
そして、新たなスタンダードには確実になっています。

 

子供の頃からアニメとはあまり関わりがなかった自分は、もちろん(?)この「機動戦士ガンダムSEED」は未視聴でした。
ただ同級生がグッズを持っていたり、話題に出ることはあったので有名かつ人気なガンダムなんだろうなとは思っていました。

 

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それから年月も経ち、元号も変わったこの2021年に何故か興味を持ち視聴することになるとは。
分からないものです。

 

最近はサブスクリプション方式でアニメ・映画が気軽に見られるようになったのも視聴を後押ししましたね。
折角見られるんだから見とこうと。

 

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dアニメストアで見ました

 

そして視聴した「機動戦士ガンダム SEED HDリマスター」。
今なお語られるのも分かる作品でした。色々と考えさせられました。

 

今回はその考えたことを書かせていただきます。
自分はシリーズは「オルフェンズ」と「SEED」しか見ていないガンダム初心者なので他シリーズに詳しくないですし
比べることは好きではないので比べません。
あくまでこの「SEED」単体で思ったことになります。

 

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こちらも色々考える点の多い作品

 

あと世界設定や用語は知っている体で書いています。

 


複数のガンダム

SEEDのキャッチフレーズは

「決闘(デュエル)・暴風(バスター)・電撃(ブリッツ)・盾(イージス)・攻撃(ストライク) 五機のガンダム現る!!」

だったそうです。


またSEEDのSにはガンダムズ」の意味も込められていたらしく、複数のガンダムが登場することがアピールされています。
上記5機のガンダムはそれぞれ見た目や性能も異なり、搭乗者も相まって魅力的な機体ばかりです。

 

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また、この後にもアストレイ、カラミティ、フォービドゥン、レイダー、ジャスティス、フリーダムと続々とガンダムが登場します。
モビルアーマーや他の兵器も合わせたら、何種類出ているのかもはや分かりません。これぞロボットアニメともいうべき数。

 

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バルトフェルトさんの隊長機格好いい

 

これだけ機体があれば、観ているうちに気に入るものが一つは出てくると思います。
自分は細身の期待が好きなのでストライク、あとはアストレイも好きです。

 

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ガンダムと言えばプラモデル、所謂「ガンプラ」がありますがこれは当時の子供たちはこぞってガンプラを求めたのではないでしょうか。
自分の周りでもおもちゃ屋さんに買いに行っている友達がいました。
あとはカードとかありましたかね。

 

また、視聴したことを機に、ガンプラも作ってみたいと思っていたところ友人から贈ってもらい始めてガンプラを作りました。

 

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正にこれを作りました

 

今まではプラモデルなんて...と思っていましたが、作ってみるとなるほどこれは奥が深いと思いましたね。
こだわろうと思えばどこまでもこだわれるプラモデルの世界。
面白くも恐ろしいです...。

 


人の根底にあるカテゴライズの考え

主人公のキラ・ヤマトは友人達と平穏な生活を送っていたが、連合軍とザフトの戦闘に巻き込まれる。
コーディネーターであった彼は、脱出のために乗り込んだストライクガンダムのOSを書き換え動かす離れ業をこなす。
そして友人たちと脱出するために、ストライクで出撃せよという連合軍の要請を受け戦うことになる...。

 

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個人的に、「ガンダム」という作品に抱いていたイメージ通りの導入でした。
しかし、意外だったのは主人公が解決すべき問題が無いという点です。

 

友人たちを守るためにもガンダムに乗って敵と戦う。
しかし、主人公はある問題を抱えており、それがもとで問題が起こる。
そして、最終的にはその問題を解決し戦うことに意味を見出す。

 

こんな展開があるのかなーと想像していたのですが、そうはなりませんでした。

 

いや、キラにはコーディネーターという友人達とは「違う」という問題があるじゃないか。
それがもとで不和も生まれるし、最終的には乗り越えていくべき障害にもなっている。

 

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キラはコーディネーターだからね

 

そういう意見もあるかと思います。
しかし、それはキラ自身の問題ではなくSEEDの世界自体が抱える問題でした。

 

もっと分かりやすい、トラウマを抱えていたり内に抱える狂気があったりといった問題があると思っていたんです。
そうではなくもっと広い、人種というカテゴライズの問題であったとは。

 

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調整者、コーディネーター

 

人種差別は、日本人には馴染みのない人も多いと思うし自分もそうです。
なので「家族」や「親族」で置きなおすと分かりやすいです。

 

不始末を起こした人の「家族」。
犯罪を犯した人の「親族」。
個人ではなく、そのグループでカテゴライズし差別する。
そんな光景や考え、なら少しは身近かもしれません。

 

キラも悩んでいましたが、自分が周りとは違うカテゴリに属する人間だという事実は、自分という個人がいくら頑張ろうと切ることはできないものなのです。
カテゴライズを気にする、フレイやカズイのような考えを持つ人間が存在することも確かです。

 

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コーディネーターのくせに

 

劇中でもナチュラル、コーディネーターの軋轢や差別を目の当たりにし、キラは苦悩し挫折します。
キラという個人がいくら奮闘しようとも、その世界の問題は解決できないのです。

 

しかし、世界の問題は結局人間の問題。
現状を良しとしない人間、ラクスが現れ、ラクスに出会ったことでキラはカテゴリを気にすることなく生きられる世界を夢見て戦う選択をします。
そして物語も大きく動きます。

 

カテゴリに囚われることのないラクスの考えは、それが理由で歪んでいたキラとアスランの対話を実現させ、人種ではなく個人と個人の関係の大切さを再認識させました。

 

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ラクスが唱える理想の世界は、きっと幻想でしょう。
人は何かに属していることに安心感を覚え、常にそれに飢えています。
カテゴリに囚われずに生きようとしてもそれは難しいです。
ラクス勢力も結局は一つのカテゴリになっていますから。

 

しかし、人間にはクルーゼが語った愚かさも、ラクスが語った聡さもあります。
愚かさの極みである「戦争」が人間によって起こりながらも、それを防ぎ「未来」を繋いだ聡さもまた人間によって証明されました。
どんなに理想だったとしても、人の根底を変えることは不可能ではないという可能性が示されたのです。

 

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戦うこと非ずとは

「キラとアスランを主人公に据えて『非戦』というテーマを描いた」とは、監督の福田己津央の言葉です。
確かに、別々の勢力にいたキラとアスランはお互いの関係を再認識することで戦わずに協力する道を選びました。
そして、ナチュラルとコーディネーターの戦争を止めるために奮闘します。

 

www.gundam-seed-d.net

 

しかし、キラ達は戦うことをやめたわけではありません。
誰が敵なのか見極める必要がある、と劇中でもありましたが、つまりキラ達には戦うべき敵がいます。
終盤ではジェネシスを操るザラ議員であったり、戦争の激化を画策したクルーゼだったわけですが
停戦したとしても、キラ達の目指す世界を実現するにはきっと敵はいますし、戦いは避けられないでしょう。

 

それはガンダムを駆って戦う、という形でなくとも様々な形があると思います。
ラクスが行っていた放送もそれに当たるでしょう。

 

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「非戦」と言っているのが、劇中で起こっている戦争を止めることを意味しているのならそれは確かに描けています。
しかし、未来を向いているキラ達を見ていて、あの戦争だけが「戦い」だとは思えません。

 

続編である「機動戦士ガンダム SEED DESTINY」の放送前に福田己津央監督が「戦争はなぜ起こるのかを描いていく」という発言をしていた
とありましたが、こっちのほうがSEEDに合っている気がしています。

 

先に書いた、人間の根底にあるカテゴライズの考えこそがSEEDの戦争の原因でした。
キラ・アスラン視点でそれが如実に描かれたSEEDこそ、戦争はなぜ起こるのかという疑問への一つの答えではないでしょうか。

 

ただ、非戦のためのキーは確実に描かれていました。
フレイです。

 

カテゴリの精神に抗うことなく、それを信じて、もはや暴走していたフレイ。
しかしキラへの邪なすり寄りと依存、サイからの否定、ミリアリアの覚悟、クルーゼの好奇、そして根底の考えからの脱却。

 

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それらを経験し、気が付けたフレイは、ラクス達の夢見る世界の体現です。

 

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フレイのように、人種だけではない人の価値・意味に気が付くことが正しく非戦のキーになるでしょう。

 

つまり
キラ・アスラン視点だと「戦争はなぜ起こるのか」を描いており
フレイ視点だと「非戦」を描いているのではないか
と思うのです。

 

SEED DESTINY」を視聴したら、また違う意見を抱くかもしれませんが、今はそう思います。


最後に

タイトルは知っていても、今まで観る機会がなかった今作。
その評判は聞いていましたし、視聴したあとにもなるほど人気が出る理由も分かります。

 

当時アニメ放送を見ていた人はもちろんのこと、今作は女性人気も高いようで、色々な面で「ガンダム」のスタンダードになっている人も多いと思います。

 

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大事な物なんだ...

 

「バンク」と呼ばれる同じシーンの使いまわし手法が多かったのはマイナス要素ですが、シナリオ自体には関係ないので今回は言及しませんでした。

 

「SEED」全体を見て抱いた感想を今回書かせていただきましたが、細かいところでまだまだ語りたいところも残っております。
それらはまた別の機会に語らせていただければと。

 

自分には経験の少ない「ガンダム」シリーズ。
その代表作の一つを楽しく観られたことに感謝します。

 

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対話

 

それでは、今回はここまで。