【感想】BIOMUTANT
「BIOMUTANT」は2021年5月25日にPS4で発売された、オープンワールドアクションRPGです。
人間と言える種族は存在せず、ミュータント達が生活している世界で来る世界の終焉に立ち向かうゲームです。
ミュータント達は、僕たちの世界に存在するような動物の見た目をしておきながら、どこか違う雰囲気を持っています。
言葉も話し、まるで人間にとって代わったような文明を築いています。
この、あるようで無かったコンセプトのゲームは、発売前から大きな話題になっていました。
それも、ケモノの姿をしたキャラを主人公に据えたゲームは最近よく見かけますが、自分でキャラクリエイトをして自由にオープンワールドを駆けまわるゲームはほぼ初めてだったからではないでしょうか。
僕もケモノキャラは好きなので、このゲームのビジュアルに惹かれて注目していたのですが、ようやくクリアまで漕ぎつけたので感想を書きたいと思います。
いつものように良い点、悪い点、どちらでもない点を挙げていきます。
良い点
唯一無二の世界
ミュータントが文明を築く世界だと紹介しましたが、道に沿って歩くと町に着いて、そこにミュータント達が生活している風景が見えてくるのは、なかなか得難い体験です。
これはオープンワールドだからこそ実現できているのだと思います。
そしてミュータント達は、僕たちの知っているような動物の見た目を取りながらも、放射線?によってどこか歪んだ進化を遂げており、見ていると少し奇妙な気持ちになります。
しかし、世界は自然に溢れており、彩豊かに表現されています。
この不思議なミュータントと文明、美しい自然が織りなす世界観は、このゲームしか持たない特徴だと思います。
このゲームを購入した人は、この世界に惹かれた人が多いのではないでしょうか。
僕もその一人で、そして惹かれた分の満足度はありました。
これは間違いありません。
多様な戦闘システム
アクションRPGなので、レベルを上げてスキルを覚えて戦闘方法が増えていく楽しみはもちろんあります。
それに加えてエリアボスとの戦闘がそのエリア毎にあるのですが、それぞれで特徴的な戦闘が楽しめます。
ボートに乗って水上戦をしたり、ロボに乗って戦ったり、動物に乗って戦ったり。
エリアボスとの戦闘で使用した乗り物類はそのあとの冒険でも使用でき、行ける場所が増えたりします。
これも達成感と満足感を得られますね。
また、エリアボスとは別にこの世界はトライブと呼ばれるグループが存在します。
主人公はどこかのトライブに所属して他のトライブと戦闘することになるのですが、これに勝利するとトライブボスの持っていた武器が使えるようになります。
弓、棍、手裏剣等個性豊かな武器が揃っており、これも戦闘の幅と楽しみを広げる一助になっています。
マンネリ化しやすいオープンワールドゲームにおいて、戦闘方法の幅が広がることは大事な要素です。
このゲームは、それを上手くクリアーしていると言えるでしょう。
ゲームボリューム満点
アイディアに極振りしたゲームは、その内容が薄くなることが往々にしてありますが、このゲームはその不安を払拭してくれました。
メインシナリオだけでもかなりボリュームがありますが、サブシナリオも充実しています。
オープンワールドゲームの楽しみと言えば、メインシナリオの途中で寄り道をすることで楽しめる様々なサブシナリオですが、これが膨大な数あります。
僕もメインシナリオの攻略中に、ついつい寄り道をしてどんどんメインから遠ざかるプレイをしていました。
用意されているダンジョンも骨太な攻略が必要であり、手を抜けません。
細部まで力が入れられていることが分かります。
そして、メインシナリオはプレイヤの選択肢によって分岐するようになっており、一度クリアしても更に楽しめるようになっています。
強くてニューゲームもできるので、やろうと思えば何度もプレイできますね。
どちらでもない点
分かりにくい戦闘
良い点で戦闘を挙げましたが、この戦闘がちょっと分かりにくいのです。
敵を攻撃しても明確なヒットバックが無く、普通に反撃されるのでいつ攻撃していいのか分からないのです。
これは、このゲームが反撃や体制崩しに重点を置いていることが原因です。
敵の攻撃の際にアイコンが出るので、それに合わせて防御や回避をして反撃を叩き込むのが基本戦法になります。
ただ、それは一対一の場合の話で、複数の敵が登場するとそれらから一斉に攻撃を受けるので上手く反撃できずに袋叩きにされます。
その場合は、多彩なスキルを使って複数敵に一斉に攻撃したり、体制を崩したり空中に打ち上げたりして、対応していく必要があります。
この戦法は具体的な解説がされないので、分かっていないと文字通りボコボコにされてウンザリすることになります。
僕は途中で気が付いて、敵をスキルで空中に打ち上げて無理やり一対一の状態を作り上げて戦う戦法にしていました。
敵の体力は結構多いので何回も殴る必要があるのに、上記戦法に気が付かないと全然敵の体力を減らせずに負けてしまうことになります。
しかし、多彩なスキルや武器で戦闘の幅を広げて面白さを堪能することもできるので、どちらでもない点としました。
悪い点
不安定なフレームレートと地形
このゲームは不思議なミュータントと美しい自然が広がる世界を楽しめますが、フレームレートがかなり不安定です。
オートセーブが関係しているのかもしれませんが、普通に歩いているだけでもカクカクし、戦闘中に画面が停止して1秒後に動き始めるということも少なくありません。
僕はグラフィックを捨てても、滑らかなゲームプレイができるゲームが好きなのですが、このゲームはその点で好みにハマらなかったです。
そして、自然豊かな世界には、複雑な地形の場所も多いのですが、主人公を始め様々な乗り物はその地形によく引っかかります。
石にぶつかれば乗り越えないし、坂の途中で滑り落ちます。
乗り物の種類も多くて移動が楽しいのに、少しの段差で引っかかるのはかなりテンポを崩します。
乗り越える挙動が難しいのであれば、段差が多い地形は少なくした方が良いと思いました。
ワンパターンなパズルとダンジョン
世界の至る所にパズル要素が置かれているのですが、そのほとんどがダイヤルを回して色をそろえるというものです。
パズルの対象が配電盤でも、地球儀でも、電話でも、ピアノでも、洗濯機でも、ダイヤルを回します。
正直、最後の方は飽きていました。
そんな複雑なパズルは必要ないので、せめて3パターンくらいはパズルの種類を用意して欲しかったです。
また、骨太なダンジョンが各地にあると書きましたが、攻略方法が全く同じダンジョンが少なくありません。
全く同じなのに、内容は骨太なのでだんだん嫌になってきます。
アスレチックのような仕掛けで楽しめるダンジョンもあったので、そういったダンジョンをもっと攻略したかったです。
最後に
このようなコンセプトのゲームが登場して、ゲームに多様性が出てくるのはとても大事なことです。
唯一のコンセプトを持ちながらも、王道を忘れずにスムーズなプレイをさせてくれたこのゲームは、とても貴重な存在でしょう。
しかし、不満点が無いわけではないので、これを参考にもっともっと洗練されたゲームが今後登場することを願っています。
開発はスウェーデンのExperiment 101というスタジオです。
このスタジオの出す今後のゲームにも、注目したいですね。
それでは、今回はここまで。
PS:
このゲームを語るうえでナレーションの存在は欠かせないかなと思っていたのですが、至る所で様々な意見が出ているようなのでわざわざここでも語る必要はないと思い省きました。
アップデートでテコ入れされていたあたり、開発側にもそれらの意見は伝わっていたのでしょう。
僕は、確かに最初は頻度が多いなと思いましたが、途中からは「FALL OUT」のラジオのようなBGM的感覚で慣れていきました。