【感想】ペルソナ5 ザ・ロイヤル シナリオ,キャラ編
前回はゲームシステムについて触れましたが、今回はシナリオとキャラについて書きたいと思います。
ネタバレしてますよ。
3214文字
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シナリオは個人的にとても面白いものでした。
ただ、この面白さはザ・ロイヤルで追加されたシナリオを全て含めての感想です。
舞台を実在する東京に移し、扱うテーマは人の心から変わらないまでも欲望、集団心理と都会ならではのものになっています。
また反逆もテーマになっており、今まで抑圧されていた、もしくはしていた感情を解放して自分にかかっている重圧を払う姿もよく描かれます。
本作のペルソナを手にする手段も、そうやって本当の自分を開放することになっています。
それらを経てたどり着く本編ED、つまり12月までのシナリオはツッコミどころがありながらも楽しめたものでした。
4月から10月頃までを、捕まった主人公の回想という体で進めるのも新鮮でしたし、途中で明かされる真実や展開も良かったです。
インターネットが発達した現代ならではの集団心理が描かれていたりと、現実の自分達と重なるところもあり感情移入もしやすかったと思います。
本編途中まで良くない面が強調されていた集団心理も、最後に良い面が描かれていたのも良いですね。
ちょっと朝のアニメ感出てました(笑)
しかし、なにより僕が気に入ったのは1月以降を描いた追加シナリオの方です。
新規キャラである丸喜先生とかすみの話なのですが、これがとても良かった。
12月まで主人公たちに降りかかった悲劇。
そしてそれを乗り越えてもなお心の中に残る叶わなかった夢。
追加シナリオはそれに焦点を当てた話でした。
丸喜先生の、悲劇なんて起こらない方が良い。
起きたとしても、それを乗り越えるより忘れて生きていく方が心が幸せだ
という考えは決して間違っているものでは無いと思います。
心に残る悲劇というのはその人の人生に大きな影響を与えてしまいます。
これからの生き方を決めてしまうほどのものもあります。
丸喜先生はそれを知っているからこそああいった手法にでたのでしょう。
しかし、主人公たちはその考えを突っぱねます。
確かに起こらなくて良い悲劇が沢山あった。
でも、それがあって乗り越えたからこそ今の自分があり、得たものもあると。
最終的に主人公たちが勝ち、元の世界を取り戻し丸喜先生も考えを改めます。
そして主人公は地元に帰りエンディングです。
このシナリオ、僕はプレイしていてなんか既視感がありました。
こんなシナリオのゲームを最近やったような?
そして思い出しました。
「ドラゴンクエスト11」です。
「ドラゴンクエスト11」は、魔王ウルノーガを倒し平和を取り戻したEDの後に真EDへ到達することができるシナリオがあります。
過去へ旅立ち、通常EDを迎える際に起きてしまった悲劇の数々を起こさないようにし、真の元凶を倒そうというシナリオです。
そう、「ドラゴンクエスト11」の通常EDに到達するまでに、多くの悲劇が起こるのです。
そしてそれは主人公たちの奮闘も虚しく回避することができません。
仲間の一人、ベロニカに起こる悲劇もそのうちの一つ。
主人公たちはそんな悲劇を起こさずにいられるのならと、主人公一人を過去へ送り出すことを決意します。
そしてそれは叶い、真EDへ到達することができるのです。
このシナリオ、「ペルソナ5」と通じるものがあります。
「ドラゴンクエスト11」は起ってしまった悲劇をなかったことにするために主人公たちが奮闘し、それを勝ち取るシナリオ。
「ペルソナ5」は、悲劇をなかったことにしようとするラスボスのたくらみを潰し、悲劇たちによって自分たちが得たものを否定しなかったシナリオ。
どちらの結末が好きなのかは個人によって違うと思います。
ただ、僕はこの2つの作品をプレイしていてどちらも納得できました。
悲劇なんて怒らない方が良い。
それを今からなかったことにできるといわれたら、それに縋りたくなる気持ちは大いに分かります。
でも、その悲劇によって得たものもあったはずなんです。
それを否定せず受け入れて、忘れないことも大事なことです。
どちらが正しいかなんて分かりません。
だから、どちらも正しいのでしょう。
「ドラゴンクエスト11」で悲劇回避のシナリオを見ていて自分は、「ペルソナ5」で全く逆の展開のシナリオを見ることができて、「やっぱりどちらの展開でも面白い」と思いました。
この比較をすることが出来たのが、「ペルソナ5」をプレイして一番感動したところかもしれません...。
そして、そんな素晴らしいシナリオを味わうことができたのはキャラ達のおかげでもあります。
「ペルソナ」シリーズは、個性的かつ魅力的なキャラがたくさん登場するシリーズでもありますが、今回も素晴らしいです。
特に今回は高校生にしては頭の良いキャラが集まったため、落ち着いた雰囲気が終始あったのが個人的には良かったです。
ただ、頭が良いとは言っても個性は健在で、似たり寄ったりのキャラではなくそれぞれが立っていたのも良きです。
僕は杏が好きで、彼女もこの子にしていました。
初期メンバーの竜司と杏は仲間キャラの中でも一般人寄りですが、杏の普通だけど友だち想いで頑張っちゃうところが好きです。
後から入ってくる頭の良いキャラの話にも意外とついていけていたりして、話のテンポを崩さないのもポイントでした。
でもお色気作戦とかが下手なのは普通の高校生だなぁとなりました(笑)
ここでちょっと愚痴を...。
「ペルソナ5」の仲間キャラは頭の良いキャラが多く落ち着いた雰囲気があると書きましたが、彼らは高校生です。
なのであまりにも達観しているとリアリティがないと判断されたのか、一部のキャラが高校生感を出すためにかなり頭の弱いキャラとして描かれています。
その筆頭が竜司です。
もともとお調子者みたいな設定があるようですが、怪盗という忍んでいるべき存在になっているにも関わらずかなり大胆な行動、言動をします。
ただ、そうしないとシナリオが進まない箇所があり、だれがその役割をするか?となったら竜司しかいないのですが...。
いや絶対この場面でその行動はないだろうということをさらっとやってしまうので、かなりヒールが溜まるポジションになってしまっています。
これは竜司が悪いというだけではなく、そうしなければシナリオが進まないという展開にしてしまったこと自体が問題だと思いました。
「ゼノブレイド」のラインもそういう言動が多くて嫌になったのですが、それと同じです。
竜司はコープではかなり良いキャラをしているので、もともとの設定はこっち寄りだと思いますがそれもコープを見ないといけないので、本編だけで竜司のキャラを判断してしまうとだいぶ残念なキャラになっています。
シナリオの犠牲になってしまうキャラがいるのは悲しいことなのです。
なので追加シナリオのない12月までの話は、そういう理由で突っ込みどころはあるが面白いシナリオ、という印象でした。
追加シナリオでは皆良いキャラしていましたよ。
かすみと丸喜先生が中心でしたけどね。
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ゲームシステム編でも書きましたが、シナリオとキャラの面でも集大成に近づいてきているのではないでしょうか。
心を題材にするのも限界がありますし、これ以上キャラを出しても二番煎じと捉えられかねません。
なので僕は、今後「ペルソナ」シリーズが続くとしても次回作はだいぶテイストを変えるのではないかと思います。
初代や2の雰囲気に戻すというのも一つの手ですね。
5で初代寄りのシステムが戻ってきていたのも、それの準備だったりするかもです。
まぁ、想像するのは自由ですが、僕は出てきた作品を楽しく遊ばせてもらうだけです。
次の作品も、きっと買って遊ぶでしょう。
期待しています。
それでは、今回はここまで。