【感想】.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで
長かった。
クリアして最初に抱いた感想です。
Vol.3の副題は「歩くような速さで」ですが、僕はこのゲームを約一か月で駆け抜けたことになります。
それでも、長いと感じた。
それは、ハセヲをはじめとする「.hack//G.U.」（以下G.U.)のキャラクタたちの挫折と成長を見る事が出来たからだと思います。
彼らの想いや行動、覚悟を見続けた過程が、単純な期間では計れない長さを感じさせました。
このゲームを遊び、熱狂した理由。
それが少しでも今回の感想で伝わればいいと思います。
いつものように良い点悪い点を挙げながら書きます。
ネタバレは気にしていません。
過去の感想はこちら↓
良い点
王道の終焉を迎えたシナリオ
オンラインゲームとリアルワールドの両面の崩壊を描いたシナリオ。
オーヴァンの暗躍から始まったこのシナリオにどういった決着をつけるのかとちょっと不安に思いながらプレイをしていましたが、綺麗な王道展開に終着しました。
その過程として、様々なサブシナリオが展開されましたが、終わり方は僕の好みでしたので、良かったです。
オーヴァンも志乃も失い、孤独に力だけを追い求めていたハセヲが、仲間を得て、居場所を得て、それを守ろうと決意する。
3作品通して描かれたハセヲの成長と仲間の絆が文字通り世界を救いました。
王道な展開はもはや飽きられている節がありますが、この「G.U.」ではオンラインゲームという舞台で話が広げられたことでマンネリを払拭していたのも良いと思います。
虚構でありながら現実と同じ社会を築いた「The World」。
様々な人の想いが寄せられた「世界」は、人の色んな表情を見せてくれながら、人々にとって掛け替えのないものになっていきました。
たとえ自分にとって都合の良い「世界」でなくなったとしても、望んだものが手に入らなくなったとしても。
誰かの、何かの意思一つで歪められて良いものではない。
これはゲームではない。
それを超えた何かになった「The World」を巡る物語は、王道に彩りを加えました。
出来る事が増えていく戦闘
「G.U.」シリーズの良い点に毎回挙げていますが、Vol.3も戦闘が面白いです。
ハセヲのフォームチェンジと同時に解禁された双銃とダブルトリガーは、戦闘をよりスピーディにするだけでなく、スタイリッシュにもしてくれています。
双銃でけん制して、連撃タイミングでスキル発動、そしてダブルトリガー。
この流れが爽快で無駄に戦闘していました。
レベル3スキルも、戦闘でスキルを使う意味が増えて良いですね。
威力が上がったり、消費SPが減るのもGOOD。
また、憑神バトルもストーリーの進行に従ってできることが増え、楽しいです。
普通の戦闘もそうですが、キャラがパワーアップして戦闘システムが変化するのは、ワクワクしましね。
男の子です。
シリーズを通して改善と変化をしてきた戦闘システム。
PS4版にのみあるVol.4ではどうなっているんでしょうか。
どちらでもない点
榊は必要だったのか？
八咫を失脚させ、AIDAにとって都合の良い空間を作り出すために、オーヴァンが放った刺客が榊でした。
Vol.2で志半ばでハセヲ達に倒された彼でしたが、その志を叶えるためというよりハセヲに復讐するためだけに動いていました。
正直、僕は彼が絡んでくるアリーナのシナリオはかなり退屈でした。
ハセヲは負の感情に捕らわれず、過去の自分を乗り越えるのに対し、榊はそれを超えられないという対比は良かったのですが...。
榊に全く魅力を感じないんですよね。
発言は全て小物っぽいし、自分は何もやってないし。
裏に何者かがいて、榊はあくまで道化（実際そうでした）という演出があればよかったのですが、最後にオーヴァンが出てくるまでそれもないです。
榊が出るたびに、発言するたびに失笑してしまいました。
しかもこのシナリオは結構長いので、余計に退屈です。
榊というキャラは美味しいキャラだと思うのですが、描写があまりにも道化すぎたので、どちらでもない点としました。
悪い点
最後まで続く処理落ち
Vol.2でも書きましたが、処理落ちが結局最後までありました。
戦闘中に処理落ちすると、キー入力が正しくできなくて何をしているんだか分からなくなります。
アリーナはもちろんのこと、通常のダンジョンやボス戦でも頻繁に起こるので「またか...」となってしまいます。
ハード性能もあるのかもしれませんが、これははっきりと悪い点として挙げさせてもらいます。
勿体ない。
天狼を仲間にできない
これは大きな欠点です。
天狼を仲間にできないなんて。
なんでボルドーや志乃は仲間にできるのに、天狼はできないんですか。
ヘテロ三人衆とかいう余分三兄弟みたいな奴らにやられただけでも憤慨ものだったのに！
最後協力してくれたんだから、アドレスをくれてもいいじゃないかー。
一緒に冒険したかった...。
これはシリーズ通して最大の失敗です。
( ｀ー´)ノ
そして彼らは歩き始めた
と、天狼への愛はこれくらいで。
「.hack.G.U.」シリーズ、Vol.1からVol.3までクリアできました。
とても面白かったです。
充実したゲームプレイでした。
オンラインゲームを舞台にしたオフラインゲーム。
.hack内のリアルとネットの両面を見せることで深みを出す演出。
オンラインゲームという社会とそれに関わる人々。
人と人、人と社会の関わり方。
人にとっての「世界」。
様々な特色と魅力を内包したシリーズでした。
ハセヲの「世界」への関わり方は、他人を「世界」とみなしてそれに関わりぬくことでした。
しかし、きっとそれは人の数だけあるはずです。
ハセヲの仲間である他のキャラでさえ、関わり方はハセヲと同じではないでしょう。
それを否定せず、肯定もせず、受け入れる。
難しいですが、そうやって人は繋がることができるのです。
しかしもしかしたらそれは自分の中で変わってしまうこともあるかもしれない。
歪んでしまうこともあるかもしれない。
もしそうなっても、悩むのは自分です。
乗り越えるのも自分です。
時にはそれが上手くいかず、挫折することもあるでしょう。
しかし乗り越えるための助けはきっと自分の周りにあるはずです。
無くても、見つければよいのです。
そしてそれを乗り越えた時、新しく見えてくるものがあります。
彼らはまだその道を歩き始めたばかりです。
彼らを見てきた僕も、きっと少しは進んでいると思いたいです。
それでは、今回はここまで。
この後はスクショ祭りです。
沢山ありますよ。
