【サントラ感想】ピアノと弦楽器の生演奏による「世界樹の迷宮」Ⅰ&Ⅱスーパー・アレンジ・バージョン
ゲーム音楽が注目を浴び始めているのは周知のことだと思います。
この情勢で自由に、とはいきませんがライブやコンサートがオンラインでも開催されたりと、見つけようと思えば、ゲーム音楽の催し物は簡単に見つけることができるほどです。
しかし意外と達成されていないことがあります。
アレンジアルバムです。
有志の方がアレンジしている同人作品もあるのですが、作曲者が直接監修した、所謂公式のアレンジアルバムというのはかなり少ないです。
それこそ有名な「ファイナルファンタジー」や「ペルソナ」等は別にして、もっとアレンジされても良いと思えるゲーム音楽は沢山あります。
そして今回紹介するこのピアノと弦楽器の生演奏による「世界樹の迷宮」Ⅰ&Ⅱスーパー・アレンジ・バージョン。
これは古代雄三氏がコンポーザーを務めた「世界樹の迷宮」シリーズから、ⅠとⅡの楽曲をセレクトし、アレンジしたアルバムになります。
実は「世界樹の迷宮」シリーズは、各タイトルごとに元々アレンジアルバムをリリースしている、音楽に相当力を入れているシリーズでもあるのです。
これはⅢのアレンジアルバム
ゲーム音楽業界でもニッチなジャンルになっているアレンジをここまで推してくれるタイトルもかなり貴重です。
そして、「世界樹の迷宮」シリーズの音楽が大好きな僕は、曲の違う一面を見られるアレンジアルバムをいつも楽しみにしているわけです。
こちらのアレンジアルバムは、曲ごとに違うアプローチをするのが定常なのですが、
ピアノと弦楽器の生演奏による「世界樹の迷宮」Ⅰ&Ⅱスーパー・アレンジ・バージョンは、ピアノと弦楽器を中心にアレンジをしたアルバムです。
色々な側面を見せるアレンジも良いですが、一つのコンセプトを決めたアレンジも、揃えたからこそ見えてくる良さもあり、僕のお気に入りのアルバムになっています。
ピアノと弦楽器がそもそも好きですしね。
ちなみにこのアルバム、一度は廃盤になってプレミアム値段が付いてしまっていたのですが、5pb.Recordsの「RePACK」という名盤復活プロジェクトによって復活したアルバムの一つです。
当時は存在を知らず、後になって購入したくなった僕のような人を救う素晴らしいプロジェクトです。
プロジェクトの第一弾としてノミネートしたのですが、同時に他の廃盤になっていた「世界樹の迷宮」シリーズアルバムも再販しています。
また欲しいと思ったときに買えないのは嫌ですから。
今回のアレンジは「メタルギア」シリーズの楽曲でも知られる日比野則彦氏が担当しました。
スーパーアレンジアルバムで担当されたアレンジ曲を気にいった古代氏やユーザーから、同じような"優しいアレンジ"を聞いてみたいという声を貰い、そこから本アルバムの制作も始まったようです。
制作陣のエピソードが書かれたブックレットも入っており、そのような話を知れるのもファンにとって嬉しいことです。
また、日比野氏がアレンジ曲を作成した際の楽譜もデータで閲覧することができます。
手書きの入った楽譜なので、作成の雰囲気を感じることもできますし、楽器に明るい人ならば弾くこともできるでしょう。
細かいところでのユーザーへの気配りも、このアルバムが好きな理由です。
それでは、このアルバムの中から好きなトラックをいくつか紹介して終わりにしたいと思います。
ただ、どれも良い曲ですので気になった方は是非とも探し求めてみてください。
街景 窓越しの街路樹 [街施設 エトリア広場 昼]
冒険の要になる、街で流れる曲をアレンジした曲です。
もともと落ち着いた曲ではありますが、ピアノと弦楽器によって重厚な曲にもなりました。
バーでかかっていてもおかしくない、ちょっとおしゃれな雰囲気さえあります。
鉄華 初太刀 [通常バトル 前編] ~ 戦場 初陣 [通常バトル 前編]
タイトル通りバトルの曲なのですが、これはもう全くの別物になっています。
リズムもゆっくりになっており、戦うどころか寝てしまいそうな曲に。
僕は前半のメロディがピアノとアコースティックギターで奏でられているⅡの戦闘曲が好きです。
迷宮V 遺都シンジュク [ダンジョン 21F~25F] ~ 迷宮V 天ノ磐座 [ダンジョン 21F~25F]
「遺都 シンジュク」はやはりというか何というか、この曲はどんなアレンジをされていても存在感があります。
それだけ原曲が素晴らしいということなのですね。
「天ノ磐座」も低音と高音のコントラストが心地よく、荘厳さも感じられるアレンジに。
考えてみれば、シンジュクは地下、磐座は天にある真逆の存在なのですね。
それが一つの曲で合わさっているのも感慨深いものがあります。
迷宮IV 桜ノ立橋 [ダンジョン 16F~20F]
原曲の雰囲気からして、今回のアレンジは合いそうでしたが、やはり合いました。
あの桜が咲き誇る、美しくも少し妖しい、階層の雰囲気そのままに優しいアレンジがされました。
それでは、今回はここまで。