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【感想】花帰葬

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男性向け、女性向け問わずアドベンチャーゲームは無数に存在しますが、その中にも様々なタイプがあると思います。

 

単純に攻略対象と仲良くなり、主人公と結ばれて終わるもの。

大きな枠組みとしてのストーリーが存在し、その中で攻略対象を選ぶことで細かくシナリオが分かれるもの。

攻略対象など存在せず、用意されたストーリーを読み進めるもの。

etcetc...

 

僕はストーリーや舞台背景がしっかり用意されていて、かつそれが気に入れば大体楽しんでプレイすることができます。

なので、アドベンチャーゲームを選ぶときはあらすじや設定を先に調べています。

 

キャラは結構後回しになるので「このキャラ気になる!」でゲームを手に取ったことはほとんどないです。

キャラはプレイしていれば自然と好きになったり嫌いになったりしていくものなので。

 

そんな僕も今まで主人公とは異性の攻略対象しかいないゲームしかプレイしてきていませんでした。

所謂ギャルゲーや乙女ゲーというものですね。

 

百合ゲーやBLゲーをプレイしていないのに特に理由はなかったのですが、

そもそも調べていなかったのと、単純に家庭用ソフトとして流通していないのも理由です。

 

それでも知っていたBLゲーが一つありました。

それが今回プレイした「花帰葬」。

(ずっと読み方は「かきそう」だと思っていたけど、「はなきそう」だった)

 

白を基調にしたイラストを見たことがあったり、主題歌を聞いて良い曲だなぁと思ったことはあったのですがプレイしたことはありませんでした。

しかし、ある日中古ゲーム屋さんでこのゲームのパッケージを見かけてその裏の文章を読んだとき、心惹かれたのです。

 

この世界はどうすれば君に償えるんだろう?

 

PS2版ということで手軽なお値段で買えましたので、さっそく購入してプレイしました。

そして、全ED全スチルをコンプリートしましたのでその感想を書きたいと思います。

今回は普段の良い点悪い点を挙げるのではなく、思ったことをつらつらと書きます。

ネタバレは気にしていません。

2278行。

 

 

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儚い世界と自分を貫くキャラ達

花帰葬」の世界は、人が人を殺しすぎると「救世主」と「玄冬」と呼ばれる人間が生まれます。

そして、殺した人数が一定以上になると生まれ育った「玄冬」を通して世界が滅ぶことになります。

 

「救世主」は滅びを回避するための存在で、世界で唯一「玄冬」を殺すことができます。

「救世主」が「玄冬」を殺すことが、世界を救うことになるのです。

 

このシステムを知らない世界の住人は「救世主」を崇め、「玄冬」を忌み嫌う。

しかしそもそもこの二人が生まれる訳を知らないので戦いの歴史を避けることはしない。

 

上記の設定だけでも、この世界や「玄冬」の報われなさや何も知らない人間たちの愚かさに暗い気持ちにさせられます。

更に音楽がもの悲しい曲調のものが多かったり、イラストの線が細く儚い印象を与えるので、「花帰葬」全体が儚い雰囲気を纏っています。

 

プレイ中は雪がずっと降っている背景だし、ストーリーも件の「玄冬」と「救世主」が好き合ってしまうという内容なので否が応にも悲しい展開になっていきます。

 

しかし僕はこの雰囲気が気にいって購入したので、大満足です。

変に主人公たちに甘くならない展開も良かったですね。

それぞれが与えられた環境で自分の信念を通そうとして、上手くいかない様を延々見せつけられました。

 

プレイしていて何度も思ったのは、このゲームに登場するキャラたちは相手のことを考えて行動しているようで、それは結局自分の信念を貫くことになっているなぁということです。

 

「救世主」こと花白は玄冬を殺さなくてはいけない存在なのに、玄冬のことを好いてしまったがために玄冬を連れて逃げるし。

玄冬は自分が世界を壊すくらいならと、相手の気持ちを考えずに花白に自分を殺させようとするし。

白梟は与えられた使命を果たすという名目の元、神さまに見捨てられた世界と自分を顧みてもらおうとしてるし。

黒鷹は与えられた使命を超えて玄冬に入れ込んでしまうし。

 

上記のキャラが会話しているシーンを見ていると、会話しているようで全然気持ちが伝わっていないことが良く分かります。

「こいつら自分のこと考えてばっかりや」とプレイ中ずっと思っていました。

 

しかし、キャラが自分を通した結果に作り上げられたシナリオこそプレイヤの心に響くと僕は思っています。

シナリオの都合でキャラの言動があやふやになるのが見ていて一番違和感を抱きます。

 

なので「花帰葬」のストーリー展開は納得できない、ということがほとんどなかったです。

沢山のEDがありますが、それぞれのキャラが信念を貫いた結果だったのでとても自然です。

 

EDはほとんどビターエンドみたいな内容なのですが、一番ハッピーな終わり方をするEDはこんな辛く儚い世界にも優しさがあるんだよという内容でした。

いきなり全てを解決する方法が提示されてかなり戸惑いましたし、ご都合主義かなとも思いましたが、他のEDがビターすぎて、逆にこのEDはこのゲームに残された優しさだったんだなと思うようになりました。

 

儚い雰囲気漂うこのゲームだったからこそ、あの優しさが映えたということですね。

 

 

BLゲーである必要

花帰葬」はギャルゲーや乙女ゲーと比べて圧倒的に少ないBLゲーだったわけですが、BLゲーだからどうとかそんな感想は抱きませんでした。

 

このゲームは主人公が色々なキャラを攻略するのではなく、あくまで好き合っているのは花白と玄冬で、ほとんどラブラブ甘々な展開がなかったためです。

というか、花白は玄冬に好きだという場面はありましたが、玄冬は片手で数えられる程度しかそんな言葉を言っていないんじゃないですか。

 

なのでプレイしていて「男同士で...」とか「ここに美少女がいれば...」みたいな感想は一切出てこなかったですね。

お互い想う気持ちはあるのに、それを世界が許さない展開を見ているとそんなの関係なしにこの二人に平穏な時間を与えてほしいと願うばかりでした。

 

逆にいえば、BLゲーだからこそ表現できたこともあまりなかったと思います。

このストーリー、設定ならキャラの性別がなんであれ楽しめるのは間違いないです。

(プレイヤに同性愛に嫌悪感がない限りは)

 

ただ書いていて思いましたが、BLゲーでなければならない設定やストーリーというのもなかなか難しいですね。

それは百合ゲーにも同じことが言えますが。

 

これはもう制作者の嗜好が9割といっても過言ではないでしょう。

そして世間に受け入れられるかどうか。

その結果は、今の流通状況なのでなかなか流通するのは厳しいですね。

もちろん同人界隈では別ですが。

 

僕は同人界隈には疎いのでそういったマイナーな嗜好にもマッチした作品はほとんど知りません。

しかし、そういったファーストインプレッションに囚われて内容に目がいかないのはもったいないと思います。

花帰葬」もそうですが、体験してみて初めて感じることは沢山あるでしょう。

 

最近「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」というテレビドラマが流行っていましたが、あれも原作はBL漫画らしいです。

ドラマにまでなっているので、内容に人気があるのは間違いないでしょう。

こういった例もありますし、見た目に囚われずに作品を見てほしいと思います。

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終わりに

とても楽しめました。

見た目やジャンルでプレイするのをやめないで良かったと本当に思います。

 

ちなみに、一番好きなキャラは黒鷹でした。

ああいうお付きキャラに惹かれるのはどんな作品でも変わらないですね...。

幸せになって欲しかった。

 

名作なのに昔のハードでしかプレイできないゲームというのは沢山あります。

もはやPS2レトロゲームになっているので、ソフトも手に入らなくなる未来もくるでしょう。

それに備える意味でも、プレイしたいと思ったソフトは今のうちに手に入れておきたいですね。

 

そして、このゲームによってアドベンチャーゲームで遊びたいと思える幅も広がりましたのできっとこれからはもっと色んなゲームを楽しめるでしょう。

 

それでは、今回はここまで。

 

PS:白梟は女性だったのか?男性だったのか?作品内でも言及されていませんでしたがどうなんでしょうか...。見た目はどちらとも取れる...。