【ぐちゃっと感想】鹿の王
生と死が同時に存在する世界で、僕たちは生きている。
日本の本で重厚なファンタジーを読めるわけない。
そういえば、子供のころはそんな風に思っていたな、と心に浮かびました。
小学生のころ、「ハリー・ポッター」や「ダレン・シャン」の存在をしり、ファンタジーという世界にどっぷり浸かったわけですが、そんな作品は外国人にか書けないだろうという謎な思い込みがあったのです。
様々な本を読んでいくなかで、そんな思い込みも薄れていきましたが…。
今回、上橋菜穂子さんの「鹿の王」を読んでそれは全くの間違いだったんだと再認識できました。
その世界を「感じたい」と思うまでのファンタジーを久しぶりに読みました。本当に面白かったです。
あらすじ
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命をつなげ。愛しい人を守れ。
強大な帝国にのまれていく故郷を守るため、死を求め戦う戦士団<独角>。
その頭であったヴァンは、奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。
ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。
その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を拾う。
一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。
感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師。
過酷な運命に立ち向かう人々の“絆”の物語。
緻密な医療サスペンスにして、
壮大なる冒険小説。
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重厚な世界設定がされながら、医療サスペンスの側面をもち、さらには命とは何なのかを問いかけたのがこの作品、「鹿の王」です。
読んでいて思ったのが、「背景がしっかりしている」ということ。
それは単純な、景観的な「場面の背景」だったり、「人の背景」だったり、「世界の背景」だったり。
話が展開されているその裏では、誰がしゃべり、どんな場所で、どこの立場から喋っているのか。
その説明が丁寧にされているので、場面を想像しやすいです。
場面が想像しやすいということは、その世界を身近に感じられるということ。
それすなわち、没入感なわけで、つまるところ没入してしまうんです。この世界に。
それもこれも「背景」のおかげです。
「背景」のある世界で繰り広げられる、1つの病を中心としたお話は、やがて命とは何なのかというテーマに近づいていくのですが。
あらすじにもある、二人の主人公がそれぞれ答えのだします…
その結末は…。
これが腹に落ちるか、落ちないかは読んだ人次第だと思います。
可能であれば、いつか具体的な感想を書きたいと思います。
それでは、生と死の中で生きましょう。どんな形でも。
今回はここまで。