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【感想】Death end re;Quest ゲームはどこまで第四の壁を破って良いか考えさせられる

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「第四の壁」という言葉は何となく聞いたことがある人も多いでしょう。
僕自身、本を読んだり、映画を観たりしているうちにいつの間にか知っていました。

 

要は舞台と観客の間にある不可視の壁のことですが、物語によってはしばしばこの壁を破ることで観客に驚きと感動を与える手法が用いられます。
調べたところによると19世紀にはもうその呼び名は存在したそうです。
(ただ、この手法自体はもっと昔から用いられていたそうな)

 

ちなみに本や映画はまだしも、ゲームという媒体においては「第四の壁」は最初から穴が開いていると思っています。


物語と登場人物があるゲームに限りますが、プレイヤーは物語内の人物を直接操作して物語を進めます。
これはもはや壁の外から観ている観客ではなくなっています。
壁に空いた穴に手を突っ込んで登場人物を動かしているのですから。

 

ゲームでは、この不安定な壁を利用して新たな表現を生み出してきた名作が数多くあります。
これはゲームだからこそできたことであり、ゲームの強みであると僕は思っています。

 

今回感想を書きたいと思っている「Death end re;Quest」もこの壁を利用した表現を採用しているのですが、その場面を観たときに、この表現はゲームでやるのがとても難しいことなのだと思い知りました。


名作と言われているゲームがいかにこの表現を上手く使っているのか、そしてこの「Deathend re;Quest」のように上手く使えていないゲームとは何が違うのかをちょっと考えたので、今回はそこに重点を置いて感想を書きたいと思います。

2619文字。

 


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「Death end re;Quest」は2018年4月12日にコンパイルハートからPlayStation4向けに発売されたRPGです。
ガラパゴスRPG」というコンパイルハートのブランドジャンルを与えられた作品です。

 

このジャンルのゲームをやったことのある方は何となくこのゲームのイメージがついたかもしれませんが、そのイメージの通りであると言っておきます。
大味な戦闘バランスに、やけに多い技やパラメータ要素。
そして可愛いキャラクターにシリアスなシナリオを進んでもらうギャップを楽しむ作品です。

 

こう書くと批判しているように聞こえるかもしれませんが、このジャンルのゲームはこんなものだと分かっていたのでそんなことはありません。
むしろ、今作品はそれに数多くのバッドエンドという新しい要素が加わったことで新鮮味を感じることができます。

 

RPGパートとアドベンチャーパートを交互に切り替えて物語を進めるのですが、大体アドベンチャーパートで選択肢をミスしてしまうとバッドエンドになります。
そしてこのバッドエンドの種類がかなり豊富。
そして専用スチルが見られたりボイスもほとんど入っていたりと気合が見られます。

 

アドベンチャーゲームRPGも好きなので僕は楽しんで進められました。
なによりキャラクタが可愛いので進めていて楽しいです。

 

大味なバランスも、どの技を使用してどのパラメータを上げればよいのか理解すれば問題なく攻略できます。
むしろそれを楽しむのがこのゲームです。
ここはかなり好き嫌いが分かれそうですね。

 

僕が何よりも気になったのは冒頭に書いたようにシナリオ部分です。
主人公はゲーム開発者で、過去に開発凍結した仮想世界体感型ゲーム内に閉じ込められたヒロインを救おうと奮闘する物語です。

 

この部分は全く問題ありません。
主人公とヒロインが仲良かったことも丁寧に描かれ、救おうと頑張る主人公とそれに応えようとするヒロインもすんなり受け入れられます。
というより、終盤まで大きな問題もなく物語は進みます。
細かいことを言い出すと指摘するところはあるかもしれませんが、シナリオ重視のゲームではないのでさらっと流します。

 

しかし終盤に、主人公は突然自分を助けてくれているプレイヤを自覚し語りかけてきます。
そしてプレイヤの力を借りた主人公とヒロインはラスボスを倒して物語は終わるのですがこの場面を観たとき僕は(゜Д゜)みたいな顔をしていました。

 

だって唐突すぎたんです。
今までプレイヤに気が付いている素振りを見せなかったのに、急に理解して語りかけてきたのは説得力が無さすぎです。

 

たしかに、主人公自体がゲーム内のヒロインやゲームキャラに干渉しているという「第四の壁」を侵した行動をしていたことからそれが自分にも起こり得る現象だと考えることは分かります。
(それには自分が舞台内の登場人物だと自覚する必要がありますが...)


しかし、それならそれを感じ始めていることを小出しに表現していかないと急に主人公が突拍子もない考えに行き着いたように見えます。

 

仮想世界体感型ゲーム内に不自然に配置されている現実世界のオブジェクトのトリック等、面白い要素が沢山あっただけにこの場面はもったいないと思ってしまいました。


別タイトルを挙げて恐縮ですが「Xenoblade2」で神様が出てこなかったときと同じように、そのゲーム世界のなかで物語を完結させてくれないと拍子抜けしてしまいます。

 

このようにシナリオに関しては言いたいことが沢山ありましたが、全体で見れば良作であるとは思います。

(ガラパゴスRPGが苦手でない人に限る)


続編も出ているようで、機会があれば是非プレイしてみたいですね。
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このゲームをクリアした時、自分が納得できないと思う要素があるとその作品を大好きになれないんだなと改めて思いました。
欠点を見ないで好きな部分だけを見続けることは苦手なのだと。
ただ、そういう人って結構面倒くさい人だよなとも思って気落ちします。

 

ちなみに、「第四の壁」を上手く使ったゲーム作品をご紹介すると「Ever17」や「BRAVELYDEFAULT」が挙げられます。
特に「Ever17」は「第四の壁を破った」という言葉だけでは足りない感動が味わえます。


BRAVELY DEFAULT」は神の世界だけ好きではないですが、他の戦闘・シナリオ・キャラ・表現方法は素晴らしいです。
(なんで神の世界はああなったのか...。3DSだからこその表現だとは思いますが...)
(「BRAVELY SECOND」はあからさますぎてダメでした)

 

ただ、「Death end re;Quest」シリーズはその手法にこだわる必要もないと思うので、リリースされている2や今後のシリーズではまた違う楽しさも味わえたらと期待しています。

 

それでは、今回はここまで。