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【ぐちゃっと感想】教団X

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神とは、宗教とは、ヒトとは。


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宗教というものには昔から興味がありました。

 

大学在学中は「宗教学」の講義をうけて、勉強しようとしていましたが、担当の教授の話が恐ろしく詰まらなくて、全く身に付きませんでした。

 

ただこれは、自分からもっと学べば良かったんです。教授のせいだけではありません。

 

その後それとなく勉強を続けていくうちに、宗教とはビジネスであり、社会を写す鏡であり、ヒトの心の安定を支えているものであるということを知りました。

 

僕は専門家ではないので詳細な説明はできませんけども…。

 

ただ、数が多すぎてほとんど把握できていません。今思うと、「宗教学」の教授はすごい人だったんですね。

 

前置きはこのくらいで、そんな僕が興味を持っている宗教を扱っているであろうこの本が気になって読むことにしました。

 

「教団X」について

書名:「教団X」

著者:  中村 文則

出版:  集英社

 

あらすじ

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。

 

書店で何か読むものを探していたときに、平積みされていたのが目に留まりました。

 

どうやら、テレビでも紹介されたそうですね。

 

宗教に興味もあって読むことにしました。

 

感想

読んでいて、強く感じたことは「くどい」ということ。

 

登場人物それぞれが自分の主義主張を説いていくのですが、それが長いこと長いこと。

 

一人のセリフが5,6ページに渡っていたときは、読むことが嫌になりそうでした。

 

それでいて、語っている内容も語り方も堅苦しい。

 

ある老人は、仏教等の宗教と原子素粒子の関係について。

 

ある男性は貧困と戦争について。

 

ある男性は性と神について。

 

ある男性は国と国民について。

 

それぞれのテーマ自体は興味が引かれるところも、あるのですが…。

 

先に言ったように、セリフが長くてくどいし、決して簡単なテーマではないので理解するのに頭を使って疲れます。

 

途中で感じたのは、「あぁ、これは物語じゃない。教科書だ。」ということでした。

 

登場人物にあれだけの主張を長々とさせると、それはもう「ヒト」ではないんです。

 

それは「作者の言いたいことを体現するだけの記号」なんです。

 

だから、ストーリーに動きを感じない。登場人物に命を感じない。

 

それは教科書と一緒です。

 

登場人物の1人は、ヒトとは何かを問いかけていますが、あなたがヒトではないよと読みながら思いました。

 

あと、この本にはセックス描写が沢山出てきます。

 

あるとも無いストーリーに関係あるのかと言われれば、無いです。

 

登場する教団ではセックスが神聖化されていて、その行事として出てきますが。

 

女性が男性に抱かれて、最初は嫌がってるのに途中で堕ちて悦ぶという過程を見せられるだけです。

 

そんなわけ無いでしょ。なんでそんな簡単にセックスに嵌まるの。

 

下手なフィクションより現実味を感じませんでした。

 

主人公はいることはいるのですが、全体の6割では登場しません。

 

途中で教団に連れていかれて、セックスして、解放されて、連れていかれて、セックスして、アフリカで子供の保護をする活動をします。

 

途中の教団のいざこざには巻き込まれるだけで、何もしない。

 

連れていかれたのに理由があるかとおもったら、教祖の昔の知り合いに似てたからってだけ。

 

主人公いらなくないですか?

 

それともこれは群像劇なんでしょうか。登場人物みんなが主人公だよ、的な。

 

だったら余計、この人はいらなかったですね。

 

終盤、登場人物の1人が「共に生きましょう」という内容の演説みたいなことをするのですが、それは共感できました。

 

数少ない共感だったのに、あとがきで作者さんがその言葉を言うんです。「共に生きましょう。」

 

その瞬間、やっぱりこの本の中のヒトは、ヒトではなくて作者の言いたいことを体現するだけの記号だと再認識しました。

 

最後に

なんだか久しぶりに批判した気がします。

 

500ページ以上の本を読んで、疲れただけなのも久しぶりでした。

 

でも本というのは、こんな形もあるんだということを学べたとは思います。

 

でもこれは「お話」ではないです。

 

では、いつも通りぐちゃぐちゃと感想を書いたところでおわりにします。

 

それでは、今回はここまで。